
皆さんこんにちは。
生活支援員 國分です。
就労移行支援に通所している方、利用を検討している方の多くは、発達障害・精神障害をお持ちかと思います。
障がいとうまく付き合いながら安定して働くことを目標に支援していきたいと計画中です。利用者の方がそれぞれただ単に内定を得ることをゴールとせず、中長期的に安定して働ける状態であることを通して、人生の質を上げていくことを大きな目標として、働くことは自分の人生を豊かにするための一つの手段として考えています。
一方、障がいがある方が働くことに大きな壁が立ちはだかることもあります。その壁を乗り越えたり、破ったりすることで安定就労への道を開くことができるようになると思います。
では、その安定就労のためにどのようなことが必要になるでしょうか。
一緒に考えていきましょう!
①障がいのある方の働くスタイル
一般的に障がいのある方が働く際に、大まかに2つの働き方に分けることができます。
・障害者雇用(オープン)
障害を開示して働くこと(障害があることを前提とした働き方)
・一般雇用(クローズ)
障害を開示しないで働くこと
この2つにはどのような違いがあるでしょうか。
大きな違いの1つとして【配慮の受けられやすさ】ということでしょうか。【配慮】とは、自分の周囲から受けられる人的・物理的なサポートの事を指します。
障害のある方が働く際に、その特性上さまざまな困難を伴う場合があります。例えば、コミュニケーション/人間関係・体調面・作業のパフォーマンスなどにおいて躓きやむずかしさを生じることで、ストレスや精神的な負担がかかりやすくなるといったことが起こりやすくなります。
その結果、退職・離職に至ってしまうというリスクがたかっくなってしまいます。これらは、障害特性(障害の持つ性質)に起因するものであるため、自身の努力や工夫にも限界があり、配慮とそれらを組み合わせることで、就労時の安定したパフォーマンスの可能性を上げることができます。
障害者雇用は、障害のある方が働くことを前提にしているスタイルです。一般雇用と比較すると、元から配慮が必要であるという前提での働き方になるので、配慮の受けやすさの面では障害者雇用で働く上での大きなメリットといえるでしょう。
一方で障害者雇用には一般雇用と比較するとデメリットがあることも事実です。
雇用形態の違いとそれぞれのメリット・デメリットをまとめてみました!
☆障害者雇用☆
・障害者雇用率制度の枠内での就労
・障害特性の開示で配慮を求めることができる
・障害者手帳の所持が必須になることが多い
メリット
・個人の特性を配慮してもらえる
・多くの場合、残業はない
・月の通院時間の確保ができる
・支援者の面接同行によるサポートが受けられる
デメリット
・非正規雇用からのスタートが多い(数年後の正社員登用のケースが増えている)
・職種が限られる(軽作業・事務など)
・昇給やキャリアアップの機会が少ない
☆一般雇用☆
・一般求職者と同じ条件で就職
・診断や特性について就職先に伝えなくてよい
・特性開示でも十分な配慮が受けられるとは限らない
メリット
・求人数が多い
・職種の幅が広く、専門職も多い
・キャリアアップと共に昇給や昇格がある
デメリット
・残業や休日出勤が入ることがある
・特性上苦手な業務への従事の可能性がある
このようにメリット・デメリットを比較すると、障害者雇用における大きなデメリットの1つとして、待遇面で低い傾向にあるということかもしれません。
②障害のある方が働くときのつまづき
障害者雇用は、障害のある方が働く際に配慮を受けることを前提とした働き方と先述しました。配慮が前提ということは、障害のある方の就労は難しさ躓きが生じる可能性が高いということを意味します。
どのような躓きが多いのか、厚生労働省が行った障害者雇用の調査結果からみていきます。
1.職場の雰囲気・人間関係 33.8%
2.賃金・労働条件に不満がある 29.7%
3.疲れやすく体力・意欲が続かなかった 28.4%
4.仕事内容が合わない(自分に向かない) 28.4%
5.作業・能力面で適応できなかった 25.7%
6.症状が悪化(再発)した 25.7%
7.家庭の事情 8.1%
8.出産・育児・介護・看護 1.4%
となっています。障害がある方の離職理由はどのようなことがあるでしょうか。
・コミュニケーションにおける躓き
・待遇のミスマッチ
・自己理解、自己管理の不足
などがあげられます。
③定着するために必要なこと
精神障害のある方は、就職後3ヶ月以内に約30%の方が離職
1年以内に約50%の方が離職
発達障害がある方は、就職後3ヶ月以内に約15%の方が離職
1年以内に約30%の方が離職されることが分かっています。
また、訓練を受けた場合と受けなかった場合の定着率の差がはっきりあり、就職訓練を受けた方が安定就労に結び付きやすいことが分かります。
安定就労に必要な要因として
・就職前の準備をしっかり行うこと
・障害者雇用での就職
この2つをあげることができます。
④安定就労のための準備
障害の有無に関わらず、職業生活を送る上で必要なことが考えられます。
1.健康管理(心身の体調管理・対処、食事、服薬、自分の病状を含む自己理解など)
職業準備におけるすべての土台になっているものです。心身の健康が不足した状態では、出勤や作業時のパフォーマンスが安定しなかったり、退職の直接的な要因になることも多くなってしまいます。まずは健康管理(不調にならないようにする/不調になったときの対処)をしっかり行えるようになることで、働く土台を作っていきます。
2.日常生活管理(生活リズム・身だしなみ・金銭管理・社会のルール順守など)
健康管理の次は日常生活管理のスキルを身につけます。ここでは生活リズムや身だしなみ・社会のルール順守など、社会生活を送るための基礎が含まれています。就職をするということは、社会に出るということと同義です。社会生活を適切の行えるということは適切な就労への基礎となっています。
3.対人技能(挨拶・会話・敬語・協調性など)
働くということは自身の作業や取り組みの結果の対価としてお金をもらうことです。業界・職種・雇用形態に限らず、就労においては自分以外の他者と何かしらやり取りを行わなければなりません。社会にはさまざまな人がいるため、自分と合わない人が同僚にいることも珍しくはありません。その中で仕事として協力していくために、適切にコミュケーションができる力が求められます。
4.基本的労働意欲(ビジネスマナー・報連相・労働への意欲など)
ここからは実際の労働場面で必要となるスキルです。ビジネスマナーやルールを守れるか、作業における連絡・報告・相談を適切に行うことができるかといったものが含まれます。会社には基本的なビジネスマナーに加えて、その企業独自のルールやマナーを設けている場合があります。そのため、組織の一員としてルールやマナーを理解して職務を遂行できるかは非常に重要な要素といえます。
5.職業適性(作業特性・指示理解・作業正確性・変化への対応など)
最後の要素が職業適性になります。ここには、仕事の時に出された指示を適切に理解し、適切な方法で取り組めるかといったことや、作業への集中度合い・作業結果といったものが含まれます。仕事における給与は自分自身の取り組みの結果による対価として受け取るものです。作業した際の結果にかかってくる部分になるので、どのような作業に取り組むのか・自分の作業適正は何かといったことを考える必要があります。
求職活動においては、どんな職種があっているか・どんな作業が適しているかといった適正に目を向けてしまいがちですが、それよりも手前の基本的な部分をクリアにしておく必要があります。住宅と同じで土台作りをしっかり行うことで安定就労の実現に近づいていくことができます。
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